ヨーロッパにおける燃料消費計測精度は極めて高いが、2001年フランス大会で行われた燃料系全重量計測方式は、 誤差が無いといっていいほど高精度であったので紹介する。 精度向上の要点は以下の3点である。 1)エアータンク加圧方式のFI(フューエルインジェクション)である。 2)インジェクターから燃料タンクまですべての重量を計測し、 そのレース前後の差を標準状態での比重で割って消費体積(cc)を求める。 3)競技車両からの脱着の監視も含め、熟練した計測員が一貫して計測する。
<ヨーロッパでは計測誤差を発生させるようなシステムに対するチェックがとても厳しく行われており、 厳格な競技としてのレース運営がなされている。>
スタート前 1)競技車両から燃料系すべて(インジェクター、ホース、燃料タンク)を取り外し燃料は空(初回のみ)にしておく。 2)燃料タンクからインジェクターまでの計測部にダストや付着物がないかチェックする。 計測員はOリングなど脱着できるものが付いている場合、その特徴をメモまたはデジカメで撮っておく。 3)空の燃料タンクに燃料を注ぎ、ホース内のエアーを完全に取り除く。(2回目以降は不足分を補うだけでよい) 4)重量を小数点以下3桁で計測する。 5)計測員の監視下で燃料系を車両に搭載する。 6)燃料系を加圧し、そのまま、スタートさせる。
<重量計測後はエンジン運転による暖機運転はできないので、 十分な保温または電気ヒーターによる暖機が必要となる。> (但し、レース中の電気ヒーターの使用は禁止)
ゴール後 1)計測員の監視下で燃料タンクを大気開放し、燃料系を車両から取り外す。 2)監視員は、計測部がスタート前と同一であること、付着物が付いていないことを厳重にチェックする。 3)重量を小数点以下3桁で計測する。 4)レース前後の重量差を標準状態での比重で割って消費体積(cc)を求め、 規定の走行距離をから リッター当たりの走行距離を算出する。